十月の内定状況からわかる学生に有利な就職戦線
業績回復と人員不足で積極採用の企業が増加
文部科学省及び厚生労働省では毎年、10、12、2、4月の年4回にわたり、就職(内定)状況調査を行っている。過去、2006年3月卒業者の調査では、大学の場合、内定時期の10月には内定率が65.8%で、その後の12月は77.4%、翌2月は85.8%となり、最終的に入社時期の4月では95.3%という結果であった。これは前年(2005年3月卒業者)に比べて1.8%のプラス。そして最新の2007年3月卒業予定者の10月時点での調査結果が発表され、前年よりも2.3%プラスの68.1%であることがわかった。
悪化の一途をたどっていた企業業績が大きく改善し、人員を積極的に採用する企業が増えてきたことから、新卒者を対象にした就職戦線が好転した傾向は今年度も引き続き見られる。これについて、財団法人埼玉りそな産業協力財団の調査部長を務める島崎光男氏は次のように話す。
「企業業績の回復はもつろんですが、ほかにも一因として、各企業の人員の年齢構成に偏りが生じている点も挙げられます。年齢構成で人数が多い、いわゆる団塊と呼ばれる世代が50代後半で定年退職を迎えます。今後は、各企業とも定年退職者が一気に増えるため、人員不足の状況に陥ることが危惧されているのです。これは社員に限らず、同世代の女性パートタイマーにも言えます。そこでどの企業も、新卒のほか中途採用や、パートタイマーの採用に対して積極的になっているのです」
就活戦線から見える三つのキーワード
就職戦線が好転したことは、大学生、短大生、専修学校生のすべてに当てはまる。こうした状況から、採用する企業側の買い手市場から、応募する学生側の売り手市場へと大きくシフトチェンジしたことがわかる。学生にとって有利な展開となったわけだが、しかし、就活学生はこれを単に楽観的に受けることはできない。それを表すのが「早期化」「二極化」「長期化」という三つのキーワードだ。
まず「早期化」とは、将来性の見込める学生を一人でも多く確保するためにも、企業側が早い時期から採用活動を展開し、内々定や内定を与える傾向にあることだ。
必然的に内々定や内定を与える時期も早まることになるが、だからといって、企業の採用活動が早期に終わるというわけでは決してない。それが二つ目のキーワードとなる「二極化」だ。就職戦線に詳しい関係者は次のように指摘する。
「企業が新卒採用に積極的だとはいえ、採用に当たっての学生を見る目には厳しいものがあります。厳選採用傾向が残りつつ、採用枠が広がっているわけですから、内定を得られる学生と、そうでない学生とがはっきりとわかれるのです」
一方で学校側からは最近、次のような声が多く寄せられる。
「以前は、一社から内定を得られれば就活を終えてしまう、という学生がいましたが、企業が採用に積極的であることは、学生もわかっています。ですから、一社から内定を得た後も就活を続ける学生が多いです。少しでも自分にとって理想的な企業から内定を得るために努力を続けるのです」
学生は当然、複数から内々定や内定を得られれば、最終的には一社を残し、あとは内々定や内定を辞退することになる。辞退者が現れれば企業は、採用活動を継続しなければならない。それが三つ目のキーワードに挙げた「長期化」なのだ。
気負いすぎることなく腰を据えてスタート
就活戦線が「早期化」することにより、十分に準備をできないまま就活をスタートせざるをえない学生が出てくるだろう。また「二極化」により、内々定や内定を得られないまま月日が過ぎていくことに思い悩む学生が増えるかもしれない。しかし、ある学校関係者が「就職活動を進めていくうちに、人間として大きく成長し、やがて就職先が決まるという学生は大勢います」と話すとおり、「長期化してきたからこそ、きちんと腰を据え、就活を迎えたい。
また、先に触れたように新卒採用だけではなく中途採用も増えていることから、今後は雇用の流動化が加速すると予測される。「新卒で入社し、定年まで活躍できる企業に就職できれば理想的ですが、一方では終身雇用の時代が終わりつつあります」(前出・島崎氏)というとおり、気負いすぎることなく、あくまでキャリアの第一ステップに過ぎないと考える方法もあるだろう。